栄養Topics【アボカド由来の成分が抗がん剤の効果を高めることを発見】

2019年01月18日(金)

【アボカド由来の成分が抗がん剤の効果を高めることを発見】

順天堂大学大学院医学研究科臨床病態検査医学の田部陽子 特任教授らの研究グループは、アボカドから抽出した成分の脂肪酸avocatin Bが白血病がん細胞の脂肪酸代謝を阻害してがん細胞の増殖を抑制すること、さらに、白血病化学療法薬(抗がん剤)との併用により抗がん効果を高めることを報告しています。

 

研究ではavocatin Bの抗がん効果の分子機序を明らかにすることを目的に、細胞計数法と細胞周期解析を用いて、avocatin Bが単独培養状態の急性骨髄性白血病がん細胞の細胞死誘導や細胞増殖を阻害することを確認しました。

 

次に骨髄脂肪細胞と白血病がん細胞を共培養*1した状態でavocatin Bの効果を比較検討した結果、骨髄脂肪細胞との共培養によって、白血病がん細胞に対するavocatin Bの細胞死誘導および細胞増殖阻害効果はいずれも減弱しました。
このとき、骨髄脂肪細胞との共培養下では、avocatin B投与後に白血病がん細胞の脂肪酸代謝が阻害される一方で、遊離脂肪酸や糖の取り込みが増強し、解糖系代謝*2が高まることが質量解析法により明らかになりました。

 

研究チームは「avocatin Bは、競合的に脂肪酸代謝*3を抑制し、副作用が極めて少ないことが特徴です。このような脂肪酸の代謝制御は、従来の化学療法薬の併用療法として白血病領域にとどまらず、高齢者のがん代謝制御治療に活用できる可能性があります。」と語っています。

 

■詳細はこちらへ
https://www.nature.com/articles/s41598-018-35198-6

 

 

※1:共培養とは
https://nico-1.info/%E5%85%B1%E5%9F%B9%E9%A4%8A%E3%81%A8%E…/

 

※2: 解糖系代謝とは
糖(グルコース)を代謝して乳酸やピルビン酸を生成し、エネルギーを生み出す。

 

※3:脂肪酸代謝とは
脂肪酸を酸化してアセチルCoAを産生する代謝経路。生成されたアセチルCoAはクエン酸回路に送られ、電子伝達系と酸化的リン酸化を経てエネルギーを産生する。

 

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