栄養Topics【海藻に含まれるフコキサンチンの抗肥満作用について】
2018年12月25日(火)
【海藻に含まれるフコキサンチンの抗肥満作用について】
弘前大学農学生命科学部 前多隼人准教授が、糖尿病肥満マウスにフコキサンチンを含むワカメ油を投与すると、白色脂肪組織(WAT)重量の増加が抑制されたと発表しました。
更にこの活性成分を検討した結果、ワカメ油に含まれるフコキサンチンであることが明らかになりました。
研究では糖尿病肥満マウスにフコキサンチンを0.1%、0.2%含有飼料を投与すると、投与濃度に依存して体重増加と白色脂肪組織の増大が抑制され、それに伴い白色脂肪組織での脱共役タンパク質の発現を亢進しました。
肥満が進行すると、肝臓や筋肉などの体内組織でのインスリン抵抗性が高まり糖尿病を発症させます。しかし糖尿病の治療に関しては未だに生活習慣に強く依存しているのが現状です。
従って、体内のインスリン抵抗性を改善させ、血糖の細胞内の取り込みと代謝を促進する成分の探索が重要です。
この研究では体重やWATの増加と血糖値の上昇や高インスリン血症が認められた糖尿病肥満マウスを使用。
そのマウスにフコキサンチンを投与すると、血糖値と血中インスリン濃度の顕著な改善効果が示されました。このような作用は正常マウスでは観察されず、糖尿病肥満マウスにたいしてのみ作用が見られました。
また高脂肪食で食事性肥満を誘発させたマウスにおいても、血糖値と血漿インスリン濃度の改善作用が示されました。
これはフコキサンチンによる作用のメカニズムとして、脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの発現調節作用が考えられる。
また肥満状態ではglucose transporter 4(GLUT4)のトランスロケーションが抑制されるとともに、GLUT4の発現量自体も減少することが報告されています。
フコキサンチンを投与した糖尿病肥満マウスでは、GLUT4の膜移動が誘導され、インスリンシグナルの伝達に関わるATKたんぱく質のリン酸化と、インスリン受容体のmRNAの発現量の増加も誘導されました。
これらのことからフコキサンチンはインスリン抵抗性に関わるアディポサイトカインの分泌抑制と、筋肉組織での糖取り込みの改善の両方から、糖尿病を予防、改善効果があることが示されました。
■詳しくは下記サイトへ
https://www.jstage.jst.go.jp/…/12/10/12_…/_article/-char/ja/