栄養Topics【血中のビタミンD濃度とがんリスクの関係】

2018年11月13日(火)

【血中のビタミンD濃度とがんリスクの関係】

 

国立がん研究センターは、血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクに関する多目的コホート研究の結果、血中ビタミンD濃度が上昇すると、がんの発症リスクが最大で25%低下することが明らかになりました。

 

今回の研究は、1990年と1993年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の9保健所管内に在住していた人のうち、ベースライン調査のアンケートに回答し、健診などの機会に血液を提供した40~69歳の男女3万3, 736人を、2009年まで追跡した結果をもとにしています。

 

個人の血中ビタミンD濃度は季節によって変動するので、採血した季節(春夏秋冬)を考慮してグループ分けを行い、年齢、性別、喫煙、飲酒、身体活動、がん家族歴、糖尿病の既往、体格指数(BMI)などのがんと関連する要因を調整しました。

 

その結果、血中ビタミンD濃度がもっとも低いグループを基準としたところ、血中ビタミンD濃度が2番目に低いグループでは、何らかのがんを発症するリスクが0.81倍に低下しました。血中ビタミンD濃度が2番目に高いグループでは0.75倍に低下していました。

 

また、血中ビタミンD濃度が最も低いグループを基準に、最も高いグループのがん罹患リスクを部位別にみたところ、肝臓がんの罹患リスクが0.45倍に低下しています。

 

これは血中ビタミンD濃度が上昇すると、がん発症リスクが低下しているため、がん予防効果があることを示唆しています。

 

ただし、血中ビタミンD濃度がもっとも高いグループではがん罹患リスクのさらなる低下が見られなかったことから、血中ビタミンD濃度が一定のレベルを超えた場合、それ以上のがん予防効果は期待できない可能性もあります。

 

 

■詳しくは下記サイトへ
https://www.bmj.com/content/360/bmj.k671

・多目的コホート研究について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/