がんへのアンチセンス治療

アンチセンス治療とは、

がんCTC細胞の特定の配列のメッセンジャーRNAからの翻訳を阻害し、がんCTC遺伝子の発現を阻止する治療法です。
アンチセンス治療を行う際は、ONCONOMICS PLUS(オンコノミックス プラス)検査のMicro Array(マイクロ・アレイ)検査結果をご参照ください。
この検査では、がんの循環腫瘍細胞(CTC)、循環幹細胞(CSC)の遺伝子の働き(発現)が報告されます。これで、遺伝子発現の状態が分かり、発現が強ければ強いほど、それらの項目に当てはまるがんの発現が強く出ているということで、がんの悪性度の進行が分かります。
RGCC社では、まずこれらの遺伝子の発現を止めることに重点を置いています。なぜなら、がんの核となる大元の火種があるままで他の火を消しても、延焼から逃れることができないからです。そして、この延焼を食い止める方法が、アンチセンス治療なのです。

なお、Micro Array(マイクロ・アレイ)検査では、次のことが分かります。

循環細胞の成長因子と活性能27マーカー
自己修復、抗がん剤抵抗14マーカー
血管新生作用5マーカー
細胞周期と不死化9マーカー
がんの転移能力5マーカー
抗がん剤、薬剤解毒能13マーカー
その他:PDI、PD-LI等6マーカー
計79マーカー

例えば、「細胞周期と不死化」の項目で次のように発現%が強いと、この遺伝子をターゲットにしたSOTを製造し、投与を試みます。表中のBcl-2、Baxは、例えば、遺伝子が15%発現していると、CTCとCTSが15%不死化しているということになります。

CELL CYCLE REGULATION & IMMORTALIZATION / APOPTOSIS
NAMERELATEDRESULTS
E2F1Transcr. Fact of TS & toto Ⅰnormal
CDC6Initiation of DNA replicationnormal
p27Cell arrest(G0)35% over control
p53Cell cycle regulator45% over control
p16Apoptosis10% over control
Bcl-2Apoptosis15% over control
h-TERTM2 crisis-aggressive phen.25% over control
BaxApoptosisnormal
CD95(fas-r)Apoptosis related receptornormal

1.必要な検査結果:

ONCONOMICS PLUS(オンコノミックス プラス)検査のMicro Array(マイクロ・アレイ)によるがんの遺伝子発現検査

※アンチセンス治療後のフォローアップには ONCOTRACE(オンコ トレース)、ONCOCOUNT(オンコ カウント)検査が考えられます。

2.アンチセンス治療:

SOTの分子は Oligo Deoxy Nucleotide(ODN─オリゴデオキシヌクレオチド:オリゴ核酸)で、通常のオリゴ核酸と異なって体内で分解されにくくなっています。体内からは尿と共に少しずつ排泄される(6ヶ月で体内から抜けきる)ので、投与は年3回がよいと考えられています。
アンチセンス治療とは、メッセンジャーRNA と相補的な(組になる)単鎖の分解されにくいRNA(アンチセンス RNA)を投与することによって、アンチセンス RNA とメッセンジャー RNA を結合させて、メッセンジャーRNAを破壊しながら(RNA干渉)メッセンジャー RNA からのタンパク質への翻訳を妨害することによって、がんの遺伝子の発現を阻止する治療法です。すなわち、癌細胞を構成するタンパク質が合成されなくなるので、エピジェネティック(後生的)にがん細胞は細胞死(アポトーシス)を引き起こします。治療は基本的に一年にマックス三回投与となります。
ステージI 、II 、IIIの癌などで術後に腫瘤がなくなっている場合は基本的に大体3ヶ月に一度投与します。
さらに行う場合は初回の治療から一年経過してからまた再開します。
アンチセンスの分子はバイアル1本に体重175ポンドの大人を想定して配合されており、大体79Kg(175ポンド x 453.79グラム=79Kg)の大人用の配合になっています。腫瘍の大きいものが残存する場合、治療は非常にゆっくり行います。
ここで腫瘍の数、部位と大きさに注目。アンチセンス治療を行うと、腫瘍のダイオフ、崩壊が起こりえます。重篤な場合は巨大腫瘍の崩壊による腫瘍崩壊症候群(TLS)<あまりにも急速に癌細胞が死滅するために起こる副作用>も生じえます。外科的に切除できる腫瘤はあらかじめ切除した方がよいので、外科医との連携も必要となります。腫瘍崩壊症候群が引き起こされる可能性がある場合は、SOTの投与ペースを遅くして、癌細胞の死滅速度が耐えられる物にする必要があります。脳腫瘍への適応は、脳梗塞を起こす可能性があるので注意が必要 (脳への転移を知らずに使用する場合は要注意)。
ここで様々なリスクを回避するために、1回の投与量を半分にする50%プロトコールを導入し、アンチセンスの1バイアルを2回に分割して使用するという、アメリカにてあみ出された、アンチセンス治療後の手法があります。
ステージIII、IV は転移、大きな腫瘍が残っており、PET・CT 検査の導入を行い、病状をしっかり把握してから治療を行います。
ミクロメタスタシス(ミクロの転移)があるとアンチセンス治療により、その部位に腫瘍の出現、リンパの腫れなどで顕著に分かることがあります。しかしこれは、がんが成長したのではなく、死滅の過程で生じます。

3.アンチセンス治療のターゲット:

  • ①アポトーシスを避けているタンパク質を作る遺伝子、不死のフェノタイプ(表現型)
  • ②転写、細胞サイクルに関連するタンパク質の遺伝子

いわゆる悪性(突然変異を起こした遺伝子)のフェノタイプ、2つを主にターゲットにします。
ONCONOMICS検査後、抗がん剤や放射線治療を使用していなければ、6ヶ月は製造が可能です。
抗がん剤、放射線治療を行っている場合は、遺伝子に変異が起きている可能性があるが、抗がん剤を使用していなければ遺伝子の配列そして発現に変化はないはずです。
しかし、できれば最新の結果を以て治療に入りたい気持ちはある(パパソティリオウ先生のコメント)、検査後6ヶ月を経過している場合は、再度検体を提出する必要があります。

ONCONOMICS検査で、がん細胞のゲノムを同定しているのが、多くの場合、ラボは、がん細胞サイクルのBCL-2とBAXを標的にしています。
BCL-2は、がんの幹細胞の生命サイクルの最もチェーンの下流にあり、ここから他の逃げ道の経路がほとんどありません。ここに、エピジェネティックスを以てアポトーシスを引き起こさせます。RGCCの検査結果で、がん幹細胞の遺伝子のBCL-2が25%発現していることはがんが25%以上の発現でアポトーシスを回避しているということです。これを阻害します。
BAXも細胞周期のアポトーシスに関する調整因子です。

治療への流れ

ONCONOMICS PLUS 検査をまず行います。

結果に基づきアンチセンス治療製剤製造の専用の発注書に記載の上、オーダーを出します。
製造には約2週間かかります。

国際宅急便にて日本に輸出(4〜5日で日本に到着)。
日本には凍結乾燥(フリーズドライ)されてくるので常温で問題ありません。

輸入業者が薬事と通関(約7〜10日)

クリニック様にて投与